アスベストについての基礎知識
アスベストとは
天然に存在する繊維状の鉱物のことです。耐熱・対磨耗性にすぐれているため耐火材等として利用されてきましたが、繊維が肺に突き刺ささると肺がんや中皮腫の原因になることが明らかとなり、現在使用が禁止されています。
その形状により、飛散のおそれがあるものを飛散性アスベスト、スレート等の建材に含有されており、飛散のおそれが少ないものを非飛散性アスベストと言います。
アスベストの種類
現在、アスベストは6種類に分類されます。
クロシドライト (青石綿) |
アモサイト (茶石綿) |
クリソタイル (白石綿) |
アンソフィライト (直閃石綿) |
トレモライト (透角閃石綿) |
アクチノライト (陽起石綿) |
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融点 | 約1200℃ | 約1400℃ | 約1500℃ | 約1500℃ | 約1300℃ | 約1400℃ |
規制動向 | 平成7年~労働安全衛生法により製造・使用禁止 | 平成16年~労働安全衛生法により製造禁止 |
アスベストにおける関係法令
法律名 | 省庁 | 石綿に関する概要 |
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廃棄物の処理及び清掃に関する法律 | 環境省 | 廃石綿等の処理・運搬に関わることについての定義。廃石綿の埋め立て処分を行う場合、あらかじめ固型化、薬剤による安定化その他これらに準じる措置を講じた後、耐水性の材料で二重こん包しなければならない。 |
大気汚染防止法 | 環境省 | 作業前、作業中、作業後の大気測定等建築物解体、石綿除去時に関わる事項について記載。施工前の事前工事届出等を定義。 |
建設工事の係る資材の再資源化等に関する法律 | 国土交通省 | 解体時におけるアスベストの事前調査について記載。その他関係法令に準じた解体工事を定義。 |
建築基準法 | 国土交通省 | 建築物における石綿の使用を規制(使用禁止)。 |
労働安全衛生法 | 厚生労働省 | アスベスト、およびアスベスト含有率0.1%を超えるすべての物の製造、輸入、使用等の禁止について記載。また、除去作業等に伴う作業届出の義務化についても記載。 |
石綿障害予防規則 | 厚生労働省 | 除去作業等に伴う作業届出の義務化について記載。また、アスベスト含有製品の有無および使用状況の確認、飛散防止措置等が定められている。 |
アスベスト処理工事における作業レベル
アスベスト処理はアスベストの使用状況、形状等に応じて作業レベルが異なります。各作業とも関連法令等に応じた対応が求められます。
作業レベル1
著しく発じん量が多い作業で、作業場所の隔離や高濃度の粉じん量に対応した防じんマスク、保護衣を適切に使用する等、厳重なばく露防止対策が必要なレベルです。
対象 | 吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール、ひる石吹付け、パーライト吹付け |
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作業種類 |
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保護具の種類 | 電動ファン付き呼吸用保護具、送気マスク |
処分方法 | 二重梱包、コンクリート固化し、溶融または管理型、遮断型埋立処分 |
廃棄物の種類(区分) | 廃石綿 |
監督官庁への届出 | 工事開始の14日前までに監督官庁、都道府県知事へ必要書類を添付し提出(計画の届出) |
作業レベル2
発じんしやすい製品の除去作業であり、レベル1に準じて高い暴露防止対策が必要なレベルです。
対象 | 耐火被覆板、 断熱材(煙突、屋根折板)、石綿含有保温材 |
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作業種類 |
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保護具の種類 | 電動ファン付き呼吸用保護具、送気マスク、全面形取替え式防じんマスク、半面形取替え式防じんマスク ※作業等によって使用保護具の可否は異なる |
処分方法 | 二重梱包、コンクリート固化し、溶融または管理型、遮断型埋立処分 |
廃棄物の種類(区分) | 廃石綿 |
監督官庁への届出 | 工事開始の14日前までに監督官庁、都道府県知事へ必要書類を添付し提出(作業の届出) |
作業レベル3
発じん性が比較的低い作業で、破砕、切断等の作業においては発じんを伴うため、湿式作業を原則とし、発じんレベルに応じた防じんマスクが必要なレベルです。
対象 | 石綿含有建材(スレート、 Pタイル、 サイディング、石綿含有岩綿吸音板、ケイカル板1種、石綿セメント板) ※石綿が質量の0.1%を超えて含まれているもの |
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作業種類 | レベル1、レベル2以外の石綿含有建材(成形板等)の除去作業 |
保護具の種類 | 電動ファン付き呼吸用保護具、送気マスク、全面形取替え式防じんマスク、半面形取替え式防じんマスク、取替え式防じんマスク ※作業等によって使用保護具の可否は異なる |
処分方法 | 溶融または安定型、管理型、遮断型埋立処分 |
廃棄物の種類(区分) | 石綿含有産業廃棄物(がれき類・ガラス・コンクリート・陶磁器くず・廃プラスチック類等) |
監督官庁への届出 | 地域により異なる |