塗膜の除去工事における労働安全衛生関係法令等
適切な調査及び工事の実施に向けた課題への対応
高濃度PCB処理施設
全国5事業所のうち塗膜は、2か所で対応
計画的処理完了期限
北海道:2023年3月末
北九州:2021年3月末
自治体の動き(高濃度PCB含有塗膜)
◇京都府:全橋調査(2019年9月まで)
◇北海道:全橋調査(2021年9月まで)
◇群馬県:全橋調査(2019年9月まで)
平成31年度における建設業の安全衛生対策の推進について
厚生労働省:基安安発0328第11号、基安労発0328号3号、基安化発0第0328第3号基安安発0328第2号、基安労発0328第1号、基安化発0328第1号(2019年3月28号)
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厚生労働省は、塗料等の掻き落とし作業について、鉛等有害物の有無等により工事に要する 安全衛生経費・工期は大きく変わることから、発注者に対し、有害物の有無等に応じた必要な安全衛生経費の積算等、必要な対応を行うよう求める。なお、鉛、六価クロム、PCB等の有害物は上 塗りから下塗りまでの塗膜に含有しうることにも留意し、有害物の含有状況や作業内容に応じて 適切なばく露防止対策を講じるよう周知・指導を行う。また、研磨材の吹き付け(ブラスト)や研磨材による手持ち式動力工具(ディスクサンダー)による鋼構造物の研磨等においては、塗膜中の有害物の有無にかかわらず、粉じん障害予防規則に基づき呼吸用保護具(送気マスク等)の使用等 について指導等を行う。
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3種ケレンや4種ケレンの活膜部分の作業でも、上塗りを削ることになるので、上塗りに含有する化学物質に注意すること。
(例:上塗りや中塗りには、着色顔料として鉛化合物や六価クロムが使用されていた。上塗りから下塗りまで可塑剤としてPCBが添加されていたことがある。 -
塗膜中の有害物の有無にかかわらず、粉じん障害予防規則第27条に基づき以下の措置が必要
ブラスト⇒送気マスク
ディスクサンダー⇒呼吸用保護具
低濃度ポリ塩化ビフェニル汚染物の該当性判断基準について
環境省通知 環循規発第1903283号 環循施発第1903281号(2019年3月28日)
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PCB廃棄物の処理においては、処理場の判断基準の設定において考慮されるリスクの考え方が基礎となっているため、低濃度PCB汚染物の該当性判断基準の設定についてはこの考え方を踏襲し、別表のとおり原則として処理場の判断基準と同じ数値を低濃度PCB汚染物の該当性の判断基準とする
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上記1に加えて、例外的に塗膜くずに代表されるようなPCBを含有する廃棄物であり、PCBを含む油が自由液として明らかに存在しない場合については、PCBの含有濃度が0.5mg/kg以下となる場合は、低濃度PCB汚染物に該当しないものと判断するものとする。
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分析方法については、別表に提示したものとする。ただし「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定 方法(第3版)」で示す方法については現時点では準用するものとし、一部検出下限値の設定等につ いて環境省で検討し、今後通知する。
PCB含有塗膜(除去)の関連法規
PCBが混入されていた場合の作業について(労働安全衛生基準法に従う)
1.0%以上の場合(10,000mg/kg以上)
特定化学物質等障害予防規則第一類物質に該当
- 特定化学物質等作業主任者(技能講習)の選任
- 安全教育の実施、健康診断の実施
- ばく露防止対策と局所排気設備の設置
- 呼吸用保護具、不浸透性保護衣保護手袋等の使用
0.1%~1.0%の場合(1,000~10,000mg/kg)
労働安全衛生法(第57条 危険物及び有害物に関する規則)
- 譲渡又は提供する時には、容器の表示と文章の交付
労働安全衛生規則(有害な作業環境)第576条
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有害物や粉じんを発散する等有害な作業場ではその原因を除去し改善等
必要な措置を講じる。(有害物の除去、粉じんの飛散防止、立入禁止措置など)
0.1%以下の場合(1,000mg/kg)
労働安全衛生規則(有害な作業環境)第576条
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有害物や粉じんを発散する等有害な作業場ではその原因を除去し改善等
必要な措置を講じる。(有害物の除去、粉じんの飛散防止、立入禁止措置など)
工事現場での対応 労働安全衛生規則(第576条)
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有害物や粉じんを発散する等有害な作業場ではその原因を除去し 改善等必要な措置を講じる。
(有害物の除去、粉じんの飛散防止、立入禁止措置など)
- 適正な安全衛生保護具の装着
- クリーンルーム(エアシャワー)の設置
- マスクのフィルタの交換、防護服の着替え
- 換気設備
PCBの含有濃度が0.5mg/kg以下の場合は、低濃度PCB汚染物に該当しないものと判断するものとする。
⇒廃棄物の基準で労働者の健康障害防止の基準ではない。
低濃度PCB廃棄物の無害化処理体制の整備状況
低濃度PCB廃棄物の無害化処理施設(焼却方式)
低濃度PCB廃棄物の無害化処理施設(洗浄方式等)
ポリ塩化ビフェニルが含有している可能性のある塗膜について
環境省事務連絡(2019年6月27日)
ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物の適正かつ確実な処分に関しては、かねてより御尽力いただいているところ、感謝申し上げる。
PCB汚染物については「低濃度ポリ塩化ビフェニル汚染物の該当性判断基準について」(通知:環循 規発第1903283号、環循施発第1903281号)により、その該当性判断基準をお示ししたところである。本年5月22日の参議院決算委員会において、添付のとおり、PCB汚染物のうちPCBを含有した塗膜(PCB含有塗膜)については、その施設の部位によってPCB濃度に濃淡がある場合、特定の部位のPCB濃度のみによって当該施設全体の塗膜のPCB汚染物への該当性を判断することは適当ではな いとの指摘がなされたところである。このため、PCB含有塗膜に係るPCB汚染物への該当性の判断における塗装の方法等に応じた適切な試料採取方法を周知することとしているが、それまでの間、留意されたい事項について下記のとおりお知らせする。なお、本事務連絡は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言であることを申し添える
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製品としてPCBを含有する塗料(PCB含有塗料)は、昭和41年から昭和49年までに製造された塩化ゴム系塗料の一部に使用され、これらは昭和49年までの塗装に使用された可能性がある
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以下の施設・設備のうち、昭和41年から昭和49年までに建設又は塗装されたもの にPCB含有塗料が使用された可能性がある。
・鋼製橋梁
・鋼製洞門
・排水機場の鋼構造物
・鋼製タンク(石油貯蔵タンク、ガス貯蔵タンク)
・水門、鉄管の鋼構造物・鋼製船舶 -
2. の施設・設備においてPCBの染み込み又は付着等が確認された場合は、当該 施設・設備全体の塗膜がPCB汚染物に該当するものとして安全側で取り扱うこととされたい
塗膜のサンプリング方法について案
令和元年6月27日
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事前調査:塗装工区等に係る情報
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サンプリング場所:塗膜構成ごと、塗装状態
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分析:
・高濃度PCBへの該当性の判断にあたっては「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第3版)」
平成29年4月環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課の第2章「8.塗膜くず(含有量試験)」により行うものとする
・低濃度PCBへの該当性の判断にあたっては「低濃度ポリ塩化ビフェニル汚染物の該当性判断基準について」
(通知:環循規発第1903283号・環循施発第1903281号)別表により、塗膜の性状に応じ、それに対応する分析方法により行うものとする -
鋼構造物塗膜調査マニュアル(JSS IV 03-2018) 一社日本鋼構造協会
塗膜のサンプリング方法について
令和元年10月11日
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事前調査:対象施設毎に同一の塗膜構成毎に行うことを基本とする。同一の施設において、複数の塗装系が適用、過去に部分的な塗替え塗装が行われている場合は留意が必要
塗膜構成調査:建設時の塗装工区、塗替え時の塗装工区等に係る情報の確認、施設写真の参照、現地踏査の実施塗装工区等に係る情報の例- 施設の塗装歴表示
- 架設年次等の情報が記載された銘板
- 施設台帳
- 設計時の建設図書
- 補修履歴・補修設計図書
- 定期点検結果
- 施設写真
- 現地踏査
同じ塗装系で同じ製造会社の塗料が用いられ、塗膜構成が同一と判断されるものがある場合には、これらの塗膜構成を一つの塗膜構成として扱う
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サンプリング場所
・可能な限り、塗装の劣化等が比較的少なく、かつ直射日光や水掛かりの影響を受けにくい場所を選定(内側面の腹板など)
・現況の塗膜厚が周辺よりも薄くなっている部位を避ける -
・サンプリング場所ごとに1か所以上
・上塗り~下塗りまでのすべての層
・必要に応じて剥離剤を使用することができるケース可燃性物質を貯蔵するタンク等、火災や爆発等の事故につながる恐れがある場合 作業中の飛散防止効果が期待される場合
実際の除去工事において剥離剤を使用することが望ましいと判断される場合
労働者の健康障害を予防するため、汚染物を取り扱う作業に対して、リスクアセスメントを実施して、有効な呼吸用保護具を使用すること。
作業環境濃度を測定して、許容濃度を参考に、適切な防護係数の呼吸用保護具を使用する。
例)
作業環境濃度 / 許容濃度 = 濃度倍率 < 防護係数
0.4mg/㎡/ 0.01gm/㎡ = 40 < 0
鉛等有害物質を含有する塗料の剥離やかき落し作業における労働者の健康障害防止について
ポイント
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(塗料の剥離等作業を発注する者について)
『橋梁等建築物』に塗布された塗料の剥離等作業を発注する者は塗料中の鉛やクロム等の有害な化学物質の有無について把握している情報を施工者に伝えるほか、塗料中の有害物の調査やばく露防止対策について必要な経費等の配慮を行うこと。◇事前調査の実施
設計図書等による第一次スクリーニング
現場調査(分析のための試料採取を含む)による第二次スクリーニング -
(塗料の剥離等作業を請け負う事業者について)
2労働安全衛生法等関係法令に基づく対策の必要性を確認するため、橋梁等建設物に塗布された塗料の剥離等作業を請け負う事業者は、発注者に問い合わせる等して、当該塗料の成分を把握すること。
国土交通省道路局
事務連絡
平成29年5月17日
各地方整備局
北海道開発局
沖縄総同事務局
国土交通省道路局
既存塗膜の剥離作業に係る、鉛等有害物の含有状況の確認について
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既存塗膜の成分調査(鉛等有害物の含有状況)
工事着手前までに塗装履歴などを踏まえ、成分調査を行い鉛等有害物の含有状況を確認する。 -
労働者の健康障害防止に必要な措置の実施
鉛等有害物の含有が確認された場合は、厚生労働省の基準の「(塗料の剥離等作業を請け負う事業者について)」に基づく安全な方法で対応することを工事の受注者へ周知すること。
塗膜採取の構成
塗膜採取量
1検体約10g
橋梁塗膜の場合、PCB、鉛、クロムの3検体で約30g 事前に依頼する分析機関に確認すること
出来るだけ乾式での採取を行うこと
剥離剤での採取試料は、分析に影響を及ぼすケース有り
分析機関
橋梁塗膜と必ず申し伝えること
分析機関によって、高濃度、低濃度と検査機器を使い分けてない場合がある
分析方法
1. 溶出試験(廃棄物処分時に必要な試験)
土壌や廃棄物に含まれる有害物質が雨などによって、水に溶け出して、地下水などを汚染する可能性がないか、について調べる方法。
一定の条件の液体に土壌や廃棄物を入れ、一定の時間、決められた方法で、かき 混ぜたり振ったりして、その液体に溶け出した(溶出した)有害物質の量を化学的 に分析する。
2. 含有試験(塗膜調査時に必要な試験)
土壌や廃棄物に含まれる有害物質の全量もしくは、全量に近い量を把握する方法。 なんらかの形で直接摂取してしまった場合のリスクを想定したものである。
直接含有濃度を分析することは出来ないので、土壌等に含まれる有害物質を液体(溶媒)に溶け出させて、溶媒中の濃度を測定する。
3. 当該塗料の成分について鉛等の有害物が確認された場合は、当該塗料の剥離等作業を行う事業者は、鉛中毒障害予防規則等関係法令に従い、湿式による作業の実施、作業主任者の選任と適切な作業指揮の実施、有効な保護具の着用等を実施すること。
鉛中毒予防規則 第40条
湿潤化が「著しく困難な場合」とは、サンドブラスト工法を用いる場合または塗布面が鉄製であり、湿らせることにより錆の発生がある場合等をさすものであること。
4. 鉛等有害物を含有する塗料の剥離等作業を。近隣環境への配慮のために隔離措置された作業場や屋内等の狭隘で閉鎖された作業場(以下「隔離区域等内作業場」という。)で作業を行う場合は、当該区域内の鉛等有害物の粉じん濃度は極めて高濃度になるため、次の措置を行うこと。